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Ever Oasis

*Combination*Part2

「何で上から?」

丁度トトの右側は崖となっており頭上を見上げると、はるかに高い所に
天辺がある。あの場所から落ちたら首の骨ぐらいは余裕で折れると思うけれど……

「高い場所にはカオスモンスターが侵入して来にくいのじゃぞい。
フックとロープを使って崖登りして上まで登り歩いていたら
足を滑らせて落下したのじゃ。うっかり、うっかり……」

行商人はあまり悪びれた様子も無くそう言えば、首をブルブルと左右に振って
ターバンに詰まった砂を最後まで振り落とそうとする。

「いやいや、落下地点に丁度私が居たのは不幸中の幸いと言った所でしょうな!
アナタの体を張った頭突きに新しい笑いのヒントも得られました。
私はお笑いを極める為にトトさんのオアシスへと降り立った、皆様のピエロのザックと言います。
以後お見知りおき下さい。」

「これはご丁寧にじゃぞい。ザック殿。今度お詫びの印に何か美味しいモノを差し入れに行くぞい。」

食べ物の差し入れと聞いてほくほくしているザックの様子を見て、トトは視線を行商人に戻し
ある提案をする。

「僕達は、もう少しここで採取をして行きますが後一時間もしない内に戻るので
オアシスに来るならご一緒しませんか?」

「それは願ったり、叶ったりじゃな。時間まで同行させて貰うぞい。」

そして、行商人は背中の袋をゴソゴソと漁り中から携帯用のフルーツドリンクの瓶を
二つ取り出すと一人と一匹へ差出し笑顔で勧めた。

「これはこれは、助かります。有難う御座います。」

ザックはそれを受け取ると、丁寧に頭を下げてはお礼を言うのだった。

その後言葉通り一時間以内に所用を済ませ、二人と一匹は精霊の力を借りた
不思議な通り道、アクアゲートを用いて一気にオアシスへと
帰るのであった。


その数日後、オアシスの新区画でハナミセを構える
タネビトのデンと言う青年の元へと
ザックが訪れた。
カウンター越しにザックが話す事はと言えば、

「デンさん、突然ですがお願いがあります。聞いて貰えないでしょうか?」

ずいっと身を前に乗り出し真剣な面持ちで、こちらを見て居る
ザックにデンは冷や汗をかきながら

「……なんだかすっごく嫌な予感がするけど聞くだけは聞いてみるよ。」

「それでこそ、私の見込んだ男……デンさんですな。私のお笑いの相方に
なって貰えないですかね?」

「……はぁ?」

デンがその事情を呑み込むのに数瞬の時を要した。
その後首をぶんぶんぶんと横に振ると困ったようにサングラスの奥の目を細める。

「突然言われてもねぇ?それにボクは人を笑わせたり出来ないよ。」

「いやいや、出来ないじゃないですよ。やるんです!」

食い下がるようにザックがそう告げればデンはうーん……?と
考え込む。

「一人でもお笑いは出来ると思うけど何でボクを巻き込んで二人でやる必要があるの?」

「良い事に気が付きましたね、デンさん!実はこの……」

ザックは言いながら服のポケットから端が擦り切れた巻物を取り出す。

「何ソレ?」

ちょっと興味を引かれた様にデンは視線を遣り、ザックの手で広げられた巻物を
上から覗き込んだ。中には、知らない言葉で何かが書かれていた!






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