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Ever Oasis

*姉妹* Part3

「あははっ♪もう来ちゃったのね。」

黒のヴェールに、赤黒い瞳のウア族の女戦士がこちらを見て居た。
その体の周囲にはドス黒くオーラが纏わり付いている。
そのオーラは紛れもなく、カオスモンスターに取りついている物と同等の物だった……。

「ツェファ……?」


ミウは、信じられない物を見たと言う風に目を見開く。
ずっとずっと探していた妹。数年前に修行に出かけたきり、消息をたってしまった
たった一人の家族。

トトは、初めてミウの妹の姿を見たがその余りの禍々しさに言葉も無くただ、
悲しそうな目をしていた。自分も身内がカオスの依代となってしまっていたから……。

「純粋で人一倍頑張り屋のアナタが何故こんな事に……」

ミウは落胆の色を言葉に乗せてカオスをその身に宿したツェファを見る。

「私はね、姉さん。望んでカオスを取り込んだの。
カオスに身を委ねる事で……世界が変わったわ!
今の体なら、疲れや飢えを感じずずっと戦えるのよ。
乾く心が強く果て無く力を求める。
そうして私は強くなったの。」

太く長い槍を目の前に構えてツェファは笑っていた。
心底、嬉しそうに。

「私は……アナタのそんな姿見たくなかったわ。そこをどきなさい。
私達は先に進むのよ。」

「シュト様の邪魔はさせないっ、通りたければ私を倒すことね?」
「ツェファ------ッ!」

ウア族の姉妹が同時に足元の砂を蹴った!
ミウの槍が、風を起こし払う形で振りかざされる。
それを大きくジャンプする事で難なく躱したツェファが頭上から斜めに
持った槍を突き出しミウを強襲する。

ミウの頭に槍が到達する寸前で、トトが剣を構えて素早く割り込み庇った。
ギギギギと両者が僅かに力でせめぎ合っていたがやがてカツン!とツェファが
弾かれくるりと空中で一回転しては、後ろの方へと飛ぶ!

すかさず、ミウが槍の柄を短く握り構えて突進して来る!
その様子を見ながら

(ねぇ、姉さん私はね……?)

ツェファは、ドス黒く揺らめき自分を満たすオーラを心地よく感じながら心の中で呟く。

(姉さんの背中をずっと追いかけて来た。……私はアナタと並んで戦いたかったの。
でも……力の差は埋められなかったわ。)

ツェファは、大きく息を吸い込み口からブレスを吐く態勢を取った。

(ずっと勝てなかった私の気持ち、分かるかしら?
認めて貰いたかったのに。強くありたかったのに……)

真っ黒の瘴気を纏う猛毒のブレスが前方の広範囲にブワッと放射される。
避けきれずミウが体を横に躱しつつも、その全身が毒に侵され見るみる蒼白になって行く。

(でもね、私は見つけてしまった。簡単に力を得る方法を。
だから……)

膝を突くミウに駆け寄ったトトが、彼女の体を横抱きに抱えるようにして横へと飛ぶ!
飛んだと同時に、今までミウが居た場所にツェファの槍の猛攻撃が放たれていた。
その一連の動作は、強烈で全く無駄が無くそして容赦が無かった。

(だからね、死んで頂戴。私は姉さんを踏み越えて更に、強くなるから!)

G-3: ようこそ!

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