
Ever Oasis
*姉妹* Part4
槍の攻撃後、ツェファには大きく隙が出来て居た。
壁際にミウを置いて、その間に携帯していた袋から毒治しの薬を取り出し渡す。
そして背中にミウを庇う形で、真実の剣を構え立ち塞がる。
トトの目は、決意に満ちていた。
「誰も、死なせない!ミウとツェファがまた笑って暮らせるように……
僕はカオスを払って見せる!」
その叫びに呼応するかのように
真実の剣の刀身が青く清浄な水で覆われ、それが聖域の天井まで噴き上がると
一気にツェファへと襲い掛かった。
「うあっ!?」
思わぬ攻撃にツェファは、一瞬だが覆われる水で視界を奪われた。
「たぁーーーーーっ!」
その後一気に距離を詰め、トトは水を断ち切るようにして剣を伸ばしツェファの喉元へと突きつける。
勝負は決まり、ツェファはただ茫然と現実を思い知らされるのだった。
「……ふふ、何故殺さないの。甘すぎるわよ。……今ここでトドメを刺さないと
私は今度もアナタ達を襲うわ。」
「殺さない、殺せる筈も無い。君が死んだらミウが悲しむから。」
トトは、ゆっくりと剣を引き上げそしてまた何時でも振れるように構えた。
背後からミウが近づいて来る気配がする。
そしてトトの横へと並ぶと、真っ直ぐに妹を見つめていた。
その視線に耐えかねたようにツェファはすっと目を逸らすと、槍を背中に戻しそして
踵を返し立ち去って行く。その姿が消えるまでトトとミウは彼女を見て居た。
「……。」
ミウはがっくりとその場に座り込むと槍を肩に乗せてそれにもたれ掛かるように一息付く。
何故か酷く疲れてしまった。
一方のトトは体力を残し元気一杯と言う風情だったが、ツェファを見送っていた視線をミウへと向ける。
それから彼女の肩に軽く手を置くようにすると
「安心して、ミウ。ツェファを助ける方法を見つけ出して見せるから。」
「……本当に?」
「えっ……?」
「本当に元に戻るのかしら?私はもう駄目な気がするわ。
あの子は自ら望んでカオスに身を差し出した。それがあの子の願いだったのなら……。」
「……。」
トトは軽く俯くと、それでも……と言う風に諦めない意志を目に宿していた。
真実の剣を腰の鞘へと収めながら、思案をして居た。
まだ諦める事はしない。何故なら諦めた時点で、希望は全て失われてしまうのだから。
希望、それは輝きだった。命は輝き、オアシスを満たす。
希望がある限りトト達は進み続けるのだろう。
~終わり~