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Ever Oasis

*闘技大会*Part3

テテは、引き気味の態勢から一度の動作でそれらを受け流すように剣を動かした。
丁度鎌首をあげた蛇の身体を模したようにSの字を宙に描いて、動かされた葉っぱの剣に
次の攻撃が迫る。
斬りの軌道だった相手の剣は、今度は突きの軌道へと。一回目の突きが来れば半歩足を引いて上体を逸らす。後ろへ下がり横へ跳ねる。
バクバクは、軽快な動作でひょいひょいとステップを踏み、突きを連続して右手左手と交互に
繰り出して行く。
防戦一方かと思われたテテは、しっかりと相手の隙を窺って居た。
きらり、とその目が光ると一気に反撃に転じる!
テテは、相手を翻弄するフェイントの動作を混ぜながら相手の剣その物を標的にして力強く葉っぱを下から
上へと跳ねあげた!突きを何度も行う事で伸び切った相手の手元、柄に近い部分に衝撃を加える事で
いとも容易く剣を宙へと打ち上げた!
手から剣の一本が離れたバクバクは、あっと言う顔をしてそれでも残りもう一本の剣で今度はこちらの剣を手から
落とそうとして来る。それを読んでいたかのようにテテは、相手の剣を、自らの剣で巻き取るようにして
絡め取りそれを地面に落とす事に成功するのだ。
地面に落とされたのを拾われないように即座に足で思いっきり蹴って武舞台の外へと剣を放り出す。
丸腰になったバクバクは、降参!と言うように両手を上げて神妙にして居た。
無論、剣を拾いに行く事も出来ただろうがそれには後ろを向かなければいけない。
後ろを向けばたちまち首か背中へと剣が突き立てられるだろう。
審判の判定が下された。テテの勝利、と。

わぁーーーーーーっ!と客席から歓声が上がりあっという間に決まった勝負に惜しみない
拍手が寄せられる。

テテは、にっこりと笑って今まで相対していた選手へと手を差し伸ばす。
バクバクもその動作に呼応して手を出すと一人と一匹はお互いの実力を認めた印に
がっちりと握手を交わすのだ。

それから、第二試合はウア族とリコス族の試合。
第三試合は……と言う具合に順調に進んでいった。
その間、テテは選手専用観客席とも言うべき場所で砂の上に敷かれたふかふかの絨毯の上に
座って試合を見て居た。
こうして試合を観察し、これから当たる戦士の戦い方を観察するのは
単純に面白い物であったし、またそれぞれの戦い方の参考にもなった。

暫く時間が経ち、テテも次の試合を消化したその後、武舞台の横で、審判が高く声を張り上げる。

「今回は、リコス族の戦士メロダクの勝利です。これにて第六試合まで終わりました。
以降、勝ち抜いた選手同士で試合を行います!」

わぁーーーーーーと、またもや歓声があがり少し休憩の時間が取られる事になった。
闘技大会の会場には、早くも行商人が一番良い場所を陣取り地面に
綺麗な絨毯を敷いてその上に商品を並べ簡易露店が開かれていた。
喉を潤す飲み物から、食べ物まで至れり尽くせりだ!
飛ぶように売れる商品と並ぶお客を見ながらターバンを厚く巻いた商人は
熱心に接客していた。
アクアジェムと交換に、お客はサボテンから絞った新鮮なジュースや
硬めに焼いた砂漠クッキーを購入して行く。
当然食いしん坊のセルケ族が買占めに走ったようだが
買占めは駄目ですと行商人にしっかり注意をされてしまった。

そして、試合結果が書かれた板が貼りだされるとそこには

第五試合:テテVSレビ    勝者テテ
第六試合:ヤーンVSメロダク 勝者メロダク

第七試合(決勝戦):テテVSメロダク

と書かれており、テテは自分の番が来るまでゆっくりと寛いで待って居た。
一方、メロダクはと言うと先程試合が終わったばかりだと言うのに疲れを見せず
余裕の表情で兎耳をゆらゆらと揺らしながら軽い屈伸運動をして居た。

そしてすぐ近くのテテの方へ来ると、一言。

「ボクは、負けないからな!」

それに応えてテテはしっかり深く頷くと、こちらも負けないと言う事を態度で伝えた。
闘技大会は実戦では無く相手を傷つける必要は無い。しかし、お互いが磨いた技を
存分にぶつける場なのだ。
手加減は無論しないし、手加減するのは相手に失礼だ。

やがては、決勝戦の第七試合が行われようとして居た!

リコス族の戦士であるメロダクは初戦で戦ったバクバクと同じく
2刀の使い手だ。模造刀を二本持ち、緊張等微塵も見せない態度で
武舞台へと進み出た。口笛でも吹きそうなその態度は思いのほか
観客に受けが良く、大きな歓声が起こり惜しみない期待の眼差しが
舞台へと注がれる。
テテも隙の無い動作で武舞台の真ん中近くへと進み出ると審判の合図を待って居る。
そして決勝戦が始まった。

















AB-3: ようこそ!

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