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Ever Oasis

*闘技大会*Part2

「かつてこの大地は、緑と水に覆われた肥沃な土地だったと
各地に残る遺跡の中の石版に書かれてあったの。
だから、この宝を隠した人はもしかして砂漠化を予見していたのじゃないかな?」

「予見って、そんな先の事まで考えるヤツが居るのかな。」

「ある程度その兆候があって、未来の為にこの種を残したとしたら?
何故、今砂漠になってしまったのか分からないけれど
気候が急激に温暖化したか、それとも過去の住人が自然を破壊してしまったか、
それとも……でも種は貴重な物だしこれは本当にお宝の名に相応しいね。」

「テテさんが喜んで居るならそれでいいよ。今回の結果は大満足って事にしておくさ。
あっ、そうだ。
今度さ、リコス族の集落の近くにある武舞台で闘技大会があるんだー。
数年に一度開かれる伝統ある行事なんだけどそれに、テテさんを特別ゲストとして招こうって
部族会議でこの前決まったんだよ。」

「闘技大会のゲスト!いいね、私で良ければ喜んで。」

「おっ、話が早いね。じゃあ日取りは決まり次第オアシスで話すからさ。
腕を磨いて楽しみにしてなよ~。」

そしてその日はやって来た。

広く開けた洞窟の一角に、囲いが設けられ専用の武舞台となっている。
時間は朝早かったが、武舞台の設営をしていた数匹のリコス族の青年達と、
あらかじめエントリーしているリコス族やセルケ族の戦士が現地に集っていた。

テテも、早く起き出してこの日の為にと特別にしつらえた黄色と白を基調とした
動きやすい戦闘装束に着替えてここまでやって来た。

試合開始までは、まだ時間がある。新参のテテの為に
リコス族の青年が簡単に闘技大会の説明をしてくれた。

ルールは単純な物であらかじめクジを引き対戦相手を決める
トーナメント方式(勝ち抜き形式)。
武器は戦う相手を傷つけない為に開催側が用意した葉っぱで出来た模造刀及び模造ハンマー、模造槍等を使う事。
一度審判が負け判定をすればそれに従う事。
参加人数は、八名。見事勝ち残り一位となった勝者には特別な褒賞が贈られる。
武舞台の外に弾かれた場合2分以内に戻らないと敗者と見なされる。

時刻が過ぎ、会場に大会を見に来た人々が訪れる頃
クジを引いてください、とリコス族のトーヤがやって来た。
トーヤが八本の縄状のクジを手に持ち参加選手に順番に引いて貰う。
引く順番は、じゃんけん勝ち抜きで決まり
テテは三番目に引くことになった。
一番目に引いたのはセルケ族の戦士、レビだ。
大きな手でクジを選ぶと、するりと下に付けられ
て居る札の番号が確認される。番号は大きく4と刻まれていた。
二番手は、リコス族のバクバク。
前へと進み出ると彼らの一族特有の明るい剽軽さを見せながら
一気にクジを選び取り掴む。番号は1だった。

次はテテの番と言う事で、他の戦士や客席の者が見守る中
紐を選び取ると、どきどき半分。わくわく半分と言う面持ちで
結果を待った。
テテが選んだ紐を引っ張り上げ番号が確認されるとそこには
大きく1の文字が。

背後のバクバクが「おっ!」と言う顔を見せて
軽く口笛を吹く。
その後つつがなくクジが引かれて八名全員の対戦相手が無事決まる事となる。

第一試合:テテVSバクバク

早速の、試合開始である。
適度に広い武舞台は、動きやすいように砂が丁寧にならされており
そこへ二人の戦士が進み出る。
真ん中には審判のリコス族が真面目な顔つきで立っており、
彼は試合開始と共に戦士達の邪魔にならないように移動後武舞台の外で判定を行うと言う寸法だ。
テテは、細くて長い葉っぱの模造刀を片手にゆっくりと前方を見た。
茶色の革で出来たゴーグルから飛び出た兎耳を細かく動かし、好奇心の強そうなぐりぐりとした
大きな目、手には二つの葉っぱの剣を持ったケモビト、バクバクが居た。

「……試合開始ィーーーーー!」

少年のような甲高い声で、審判が叫べば2人の戦士は同時に構える。
テテは、体の前に真っ直ぐに剣を構えそして僅かに立ち位置を変えて
距離を取り間合いを見極めようとする。
一方のバクバクは、最初から攻める気満々で軽々と2刀を振ると一気にこちらへと突っ込んで来た!
変則的な動きで2刀が、振られ上と横から同時に迫って来る。









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