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Ever Oasis

*愛の行方* Part1

ひたすらに暑く生活をするのも
旅をするにも
厳しい環境、延々と広がる大砂漠……の中にある清涼なオアシス。
ここは憩いの場にして、人々の集う場所。緑があり、人々が集うこの地は
正にこの世の桃源郷。
ある者は、清涼で透き通った
水で喉を潤し旅の疲れを癒し、またある者は「ハナミセ」
と呼ばれる店で買物を存分に楽しむ事だろう。
これは、そんなオアシスで生きる者達の物語の一つ。

オアシスの大通りに立ち並ぶハナミセは今日も
お客で大賑わいだ。
その中でも色とりどりの鮮やかなスープを
提供するホスニーは、特に忙しく立ち働いていた。
店の中には、スープを作る為の大鍋。
魔女と言う存在がもし居たら
きっとその鍋でぐつぐつコトコトと
何かを煮込んでいる事に想像が及ぶ
程の大きくて立派な古い鍋だった。
中に入って居るのは、黄緑色と紅色が混じった
色彩感溢れるスープ、ホスニーが得意としているのは
まるで絵の具を用いて色を調整したかのような
見た目も綺麗なスープなのだ。
とは言っても中身はいたって健康素材!
魚の骨で出汁を取り、丁寧にすり潰した野菜が材料なのだ。

お客様を待たせて居るので、
金属で作られたスープ皿に丁寧にスープを
注いでいく。

((かたん!))

郵便受けの方から音がして、
ホスニーは一度だけそちらの方を見た。
郵便受けから、はみ出る程の手紙の束。
その差出人は、以前からホスニーのファンだと
名乗る人物からなのだろう。
代金を受け取り、スープを渡した後に
ホスニーは、手紙の束を取ってくると
封を開けて流し読みをする。
内容は、こうだ。


[拝啓、ホスニー様。
キミのファンを名乗る事を許してください。
ああ、美しい瞳に真面目な性格、スープ作りの才能、
時代の一歩先を行く美的センス!どれをとってもキミは素晴らしいよ!
今日もキミは一生懸命夢のようなスープを作っているんだろうね。
叶う事なら傍で永遠にキミを見ていたい!]

そんな感じの内容が綴られた手紙が、5通も
手元に届いていた!

(この人、熱烈だけどこうまでシツコイと
嫌になっちゃうのよね)

5通の手紙をぱさっと、保管箱に投げ入れると
ホスニーは再びスープの沢山入った鍋を
かき混ぜる作業に戻るのだった。

グルグル、大きな木べらで混ぜると、
湯気と共にふんわり野菜の味が広がった。

E-1: ようこそ!

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