ファイアーエムブレムif
二次創作小説・暗夜王国編
『第9章・再びの試練Another』Part3.
体を蝕んで居た呪いが、すっきりと出て行き徐々に顔色が良くなって行く。
そしてほぼ動けなかった体が嘘だったように体を起こすと
前を向く。
「皆さん、もう大丈夫です。ご迷惑をおかけしました」
「お姉ちゃん!」
エリーゼが、カムイの服の裾を握りながら満面の笑顔を見せて居た。
ジョーカーも、感動したような顔で明るく頷いた。
他の者達、エルフィにハロルドも安堵の笑みと爽やかな笑みを見せて居た。
ゼロはふん!とシニカルに笑いオーディンは静かに拍手をして居る。
これで怖い物無しとばかりに、カムイ軍が湧き立つ雰囲気の中、ニュクスは素っ気なく
その場から一人離れて行こうとする。カムイはいち早くそれに気が付き立ち上がり、
「あっ、ニュクスさん。お礼が遅くなりましたがありがとう御座いました」
「礼なんてよして、ほんの気まぐれよ」
「あの……何故この場に貴方が一人で居たのか私には分かりませんが、
私達と暫く行動を共にしませんか?」
そのカムイの言葉を聞いてニュクスは、
「面倒事はごめんだわ。私はただ、誰の目にも触れず生きて居たいだけ」
「一人……貴方は一人なんですか?ご家族やご友人の方は?」
「ええ、そんな人達とっくに居ないわ。みんな私の事を気味悪がって
去って行った。だから私は一人で生きていくのよ。それだけよ」
「でも、だからと言って貴方一人をここに残しておくわけにもいきません!」
「もう、しつこい人ね。でも、その真っ直ぐな瞳は嫌いじゃないわ。
私に手を差し伸べるお節介なお嬢ちゃんがどれ程の物なのか興味が湧いたわ。
そのお節介、何時まで続くのかしらね。と言う訳で」
よろしく、とニュクスは小さくて白い右手をカムイへと差し出した。
それを握り、よろしくお願いします。とカムイも言葉を紡ぐ。
とその時、エリーゼがカムイの耳元に唇を近づけるようにして
接近して来る。こそこそ、と耳打ちをして話す事は、
『あのね、お姉ちゃん。……呪いで色々考えてみたんだけど
呪術と言えば誰か思い浮かばないかなっ!』
「……?」
きょとんとしていると、続けて耳元でエリーゼが呟く。
『お父様の側近のマクベスがね、呪いをかけた犯人じゃないかな!ってあたしは思うの』
「あっ!」
慌ててカムイはエリーゼを諭す。殆ど2人の間でしか聞こえないぐらいの小声で。
『可能性はあってもマクベスさんが呪術を行った確証はありません。そう言う言葉は控えて下さいね。エリーゼさん』
「はぁい」
そのままエリーゼは、離れて行ってそれ以上の話はしなかった。
カムイも気を取り直して、
最初の作戦通り側面の壁を壊して砦内に突入する事を告げると
軍の皆を連れて移動して行く。
ハロルドが斧でがっつりと壁を切り崩し、オーディンとニュクスが
魔法で更に削り取って行く。
やがて、人が数人分通れる穴が
穿たれれ
ば、中へと入り戦いが始まるのだ。
一方その頃、暗夜王国の一室では呪い返しの術をニュクスに施され
自分のかけた呪いにかかってしまったマクベスがしきりに
悪寒に苛まれ顔面蒼白でブルブルと体を震わせて居た。
人を呪わば穴二つ、とも言うがその通りになった
マクベスはしきりにブツクサと
文句を言いながら解呪の魔法を施す為に魔法陣のかかれた別室へと移動して行く。
「全く、カムイ王女が任務を遂行出来ないようにしてやったのに、
ヴァーックショイ!何処のどいつが呪い返しを!」
その時、マクベスはカムイの軍の中に一人のダークマージの青年が居た事を
思い出す。彼は確かレオン王子の部下、自らを漆黒のオーディンと名乗る
奇妙奇天烈な言動をする若者だった筈だ。
仮に無事に戻って来たら、見ておきなさい、と悪態をつく。
その頃、戦いの最中でありながらオーディンも盛大なクシャミをして
して居た。
後程分かった事と言えば、黒竜砦には白夜王国の民人の反感により
軟禁されたアクアが居り、無事にカムイは彼女を助け再会を喜び合ったと言う事だ。
<終わり>